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認定医療法人への移行の検討はおすみですか?

認定医療法人への移行の検討はおすみですか? | その他

こんにちは。 中小企業の事業承継に強い税理士法人アイユーコンサルティングです。

認定医療法人の認定期限が令和2年9月30日までと迫ってまいりました。 まだまだ1年以上あるとお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか? いえいえ。 認定を受けるおつもりであれば、 タイミングとしては期限ギリギリだと思っていただいたほうがよろしいでしょう。

そもそも認定医療法人制度とは、「持分のある医療法人」が「持分のない医療法人」に移行する際、 相続税や贈与税の課税なくスムーズに移行できるようにすることを主な目的として設けられた期間限定の制度です。

平成26年に時限措置として認定医療法人制度は誕生しましたが、 相続税・贈与税の非課税要件が厳しく、 なかなか移行が進みませんでした。  例えば理事に占める親族の割合を3分の1以下にしないといけないとか、 地域の医療計画に記載されなければならないなど・・・。 当時は、 この認定制度にのらずに、 贈与税を払って持分のない医療法人に移行する医療法人さんも多く、 私も数件お手伝いさせていただきました。

(当時は株式の評価方法が今とは異なり、 株価が比較的低くなるタイミングがありました。 ですので、お客様からは贈与税を払って移行してよかったとのお声を頂いています。)

そこで、 「持分のない医療法人」への移行を促進することを目的として、平成29年に新たな認定医療法人制度が誕生しました。 以前の制度と比較すると要件が大幅に引き下げられたことは、 記憶に新しいことでしょう。  しかしご注意いただきたいのは、 以前の制度であれば要件を充足するタイミングは認定医療法人の認定後でよかったのですが、  現行の制度では、その認定を受ける前に要件を充足する必要があるということです。

決して要件を満たすことは難しいことではございませんが、 ある程度の期間を必要とします。 医療法人の運営の状況によってもその期間は様々ですし、 会計期間にも影響をうけます。 少なくとも1年の期間を見ていただく必要があると感じます。 ですので、今がラストチャンスかもしれません。

今回は、その認定の要件のうち、 8つの運営に関する要件をご説明させていただきます。  認定を予定されている医療法人さまは、 是非再度要件を満たしているか、 確認されてみてください。

 

要件1. 医療法人の関係者に対し特別の利益を与えない

医療法人の関係者とは、理事・監事・使用人・出資者・それらの者の三親等以内の親族・それらの者から受ける金銭等によって生計を維持している者など、かなり範囲が広くなっています。

また特別の利益とは、単に寄附や不相当に高額な給与の支払ということではなく、 役員社宅や役員の社用車の使用など、従業員と比較して有利な条件で得る経済的な利益を含みます。 認定を受けられるにあたりそのような状況があれば改善を行ったうえで、 認定申請をする必要がございます。

要件2. 適正な役員報酬

適正な役員報酬とはいくらぐらいなのか迷うところですが、 特定医療法人の認定基準によれば理事の年収は、3600万円以内となっておりますので、特別の事情がない限りは少なくとも3600万円を超えることはできないと思っていただいたほうがよろしいです。

また勤務形態に応じた報酬の支給基準を定めることとされていますので、 社会福祉法人の役員報酬規程のように常勤か否かに区分しその支給基準を定めることが必要です。(社会福祉法人はより一層の厳格性が必要とされますが・・。)

要件3. 株式会社等に特別利益を与える行為を行わない

この要件はMS法人との取引を禁じているわけではありません。 医療法人とMS法人との間に取引がある場合において、 その取引が「特別の利益を与えること」に該当するかどうかは、 個別の事案に応じて、 その対価の適正性など、 様々な事情を勘案して総合的に判断するものと思われると国税庁通達にも示されています。

しかしながら、MS法人役員との兼務の是非については認定制度Q&Aにおいて明確にされており、兼務中は認定申請を受け付けることができないとされています。

要件4. 遊休財産額の制限

業務のために使用されておらず、 かつ、 引き続き使用されることが見込まれない財産が一定額以上の場合は要件に該当しないこととなりますので、 認定の申請前はもちろんのことですが、 新医療法人になった後も要件を満たし続けることができるか確認されておいた方がいいでしょう。

要件5. 法令違反・帳簿書類に仮装隠ぺいがないこと

この要件は、申請日の属する会計年度及び前会計年度について当該事実がないことが必要です。ですので、その期間に重加算税などが課された事実があれば申請はできないこととなります。

医療に関する法律に基づいた指導等は個別の事案に応じて、その行為の違法性など、様々な事情を勘案して総合的に判断されます。

要件6. 社会保険診療収入等が全収入金額の80%超

社会保険診療収入等とは単に社会保険診療を指すわけではなく、 労災保険診療、 健康診査による収入、 介護系の介護保険法の保険給付、 一定の予防接種などが含まれます。

要件7. 自費診療が社会保険診療報酬と同一基準

例を挙げるならば、 自賠責保険の診療費算定基準は1点12円を上限とされているようです。その他の自費診療についても社会保険診療と同一の基準であることが必要とされています。

要件8. 医療収入が、 医療に直接必要な経費の150%以内

医療収入とは、 保健所へ提出している決算届における損益計算書の本来業務事業損益に係る事業収益の額となります。  また、 患者のために直接必要な経費とは、 同じく本来業務事業損益に係る事業費用の額となります。  ですので、 保健所に提出されている決算届をご確認されてみてください。

 

長くなりましたが、 以上が認定を受けるための運営に関する8つの要件となります。  難しいことではないですが、 時間を要するということがご理解いただけたのではないでしょうか。

「持分のない医療法人」は将来にわたって相続税・贈与税の課税リスクのない法人であり、 その移行にあたっても相続税・贈与税のリスクを回避できる認定医療法人は、 メリットの大きな制度になります。

私もすべてのお客様に「持分のない医療法人」への移行を進めてはおりませんが、 法人を維持していくために移行が必要なお客様がいることも事実です。 財産権を保持することだけに縛られず、 総合的に勘案してどのような選択をすべきか、 ご検討されてみてください。

ご不明な点やご心配なこと、 本制度以外のことでもお気になられることがありましたら、 お気軽にお問い合わせくださいませ。

 

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税理士法人アイユーコンサルティング

福岡事務所 税務コンサルティング部 部長

小池 明日香

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