2021.08.12
初期費用0円のリノベーションサービス「フリリノ」が好調
株式会社リノリビング 末竹泰典社長
総合不動産事業を展開するトーマスリビングホールディングの関連会社で、リノベーション事業などを手がける株式会社リノリビング。同社が2018年にスタートした“初期費用0円”のリノベーションサービス「フリリノ」が好調だ。オーナーの最たる悩みである空室問題を、ハードとソフトの両面からサポートする画期的なサービスとして、開始以来人気を博している。
大手不動産仲介会社で勤務の後、トーマスリビングに参画し、賃貸仲介・売買経験を積んだ末竹泰典社長。「リノリビングの設立当初はオーナーから空室の相談があった際、家賃の引き下げなどソフト面の提案しか行っていなかったが、福岡の家賃相場を高めていくためには建設などのハード面にも着手していく必要性があると考えた」と当時を振り返る。
ハード・ソフトの両面で行う空室対策サービスとしてまず始めたのが、リノベーションを行った部屋に対し、入居が決まるまで家賃を保証する「ファーストリース」だった。工事完了後の募集期間(3ヶ月)経過後から、空室分賃料を保証する“初回満室保証制度”として順調に案件数を伸ばしたものの、「新しい借り入れをしたくない」「自己資金は手元に置いておきたい」「空室はあるが困っていない」というオーナーには響かなかったという。そこで次なる一手として考案したのが、今回の「フリリノ」だ。
開始3年で250戸、入居率は驚異の99%
フリリノはオーナーに代わって同社が改修費用を金融機関から借り入れ(立て替え)、サブリース契約を結ぶ。その後契約期間に応じて分割した改修費用を差し引いた額をオーナーへ支払う仕組み。オーナーは借入金・自己負担なしで改修できる上に、サブリース期間終了後はリノベーションを施し価値が向上した状態で物件が返却されるため、安定した家賃収入も期待できる。サービス開始3年で施工物件は約250戸、入居率は驚異の99%というから驚きだ。
改修予算は、対象物件の収支計画書を策定した上で決まる。グループ会社のトーマスリビングで蓄積された制約実績のデータベースをもとに、物件の適正賃料を予測して収支計画書を作成。「フリリノに近い形のサービス形態は他社でも見受けられるが、エビデンスを元に計算されたファイナンスの返済計画や事業計画の作成、さらに広告料、退去時の原状回復まで含めたサービスは少ない」と自信を見せる。
県の公社も施工 空き家問題の解消にも貢献
こうした取り組みは自治体からの関心も高く、既に福岡県の公社賃貸住宅の一部でもフリリノが導入されている。「近年団地居住者の高齢化や空室問題が深刻化しており、そうした改善策として弊社のサービスを使っていただいている」と話す。
自治体と連携した空き家対策は、団地などの集合住宅にとどまらず、戸建てにも裾野を広げている。その一例が県の委託団体「福岡県空き家活用サポートセンター」が行う「イエカツ」だ。「空き家」の活用や処分、将来空き家にしないための相続対策などを手伝う機関として2020年に発足し、同社はその協定団体として賃貸運営の提案に取り組む。「例えば持ち家の所有者だった両親が亡くなり、相続人(主に子)が遠方に住んでいるケースの場合、当面福岡に帰る予定はないが思い出のある家は残しておきたい、という声も多い。そうした場合にもフリリノを提案している」と話す。最近では、愛知県の公社のリノベーションも受託するなど、他県からの依頼も増えているようだ。
グループで培った豊富なデータベースとリーシング力を活用した「フリリノ」。空き物件・空き家問題の解決策として、引き続き大きな期待が寄せられている。
<会社概要>
社 名 株式会社リノリビング
設 立 2007年12月(2016年6月1日にグループ会社として分社化)
代 表 末竹 泰典
所 在 地 福岡市南区向野 1- 3-16 R-BLDG 3F
電話番号 092-554-2332