2021.12.21
水耕栽培コンサルで15年 “新鮮・無農薬野菜”のデリバリーが好調
有限会社グリーン・グリーン 上杉 仁社長
水耕栽培コンサルで15年 農作物の安定供給目指し起業
代表を務める上杉仁社長は、不動産会社などを経て2006年に創業。「日頃から社会問題に関心があり、異常気象など環境問題による農作物の供給不足を解消できる方法はないかを考えた時、外部環境の変化を受けず、年間を通して安定供給できる方法のひとつとして水耕栽培を選んだ」と振り返る。
家中需要で注文数は約3倍に
コロナ禍ではいわゆる「家中需要」もあり、家庭用の水耕栽培商品の注文が通常の約3倍まで拡大。観葉植物以上の市場規模を見込んでいるという。また、仕事をリタイアしたサラリーマンの第二のライフワークとして、重労働業務がほとんどない水耕栽培を始めるケースもあり、家庭用から徐々に規模を拡大し、事業レベルまで拡大していく事例も少なくないそうだ。「働き方が多様化する中で、趣味程度の農業か副業レベルなのか棲み分けがつきにくい状態になりつつある。今後農業のマーケットは拡大していくだろう」と分析する上杉社長。
天神中心部付近に水耕栽培施設オープン、新鮮・無農薬野菜のデリバリーが好調
今年設立15周年を迎えた同社が次なる一手として始めたのが、農薬ゼロ・無菌の「常備野菜」のデリバリーサービスだ。「これまでは新鮮かつ無添加・無農薬の野菜を食べるには、畑がある地方に行くしか食べることができなかった。その逆転の発想で、私たちが住む都市部に”畑”を持ってきた」と経緯を語る。
グループ会社のGG.SUPPLY株式会社が運営する水耕栽培の施設は、天神にほど近い福岡市中央区舞鶴2丁目に位置する。通常スーパーなどで販売されている野菜は収穫から1週間~10日程度経過していると言われる中、同社は住宅地との近接性を活かし、収穫後基本的に30分程度での配達が可能だ。2週間以上は日持ちすることや健康志向の高まりを受け、家庭での需要が増加傾向にあるという。ギフト配送や常備野菜として幅広いラインナップを揃えており、今後は野菜生産に乏しい海外地域に事業拡大し供給していく方針だ。全国展開を見据える同社では、この水耕栽培システムの世界特許を申請中だという。
上杉社長が事業拡大に力を入れる根底には、SDGs達成による社会問題の解決に向けた強い想いがある。「17の目標項目のうち本事業は 14 項目に該当している。今後も異常気象・Co2削減などの環境問題やフードロス等、あらゆる社会課題の解決を目指していきたい」と話す。