2024.11.12
未分割申告だと受けられない!?~適用できない各種税額軽減について~
こんにちは。
中小企業の事業承継と成長支援に強いアイユーコンサルティンググループです。
日ごとに寒さが募ってまいりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
さて、今回は未分割申告だと受けることができない、各種税額軽減についてお伝えいたします。
◆未分割申告とは
そもそも未分割申告とは、相続の申告期限日までに分割協議が調わず、共同相続人(又は包括受遺者)のそれぞれが、財産であれば、法定相続分、遺言がある場合は遺言による相続分の指定、特別受益者の相続分の規定によって相続分に応じて取得したものとして、債務・葬式費用であれば、法定相続分または遺言がある場合は遺言による相続分の指定で債務控除の適用を受け、申告することをいいます。
◆未分割申告の場合、適用できない各種税額軽減とは
未分割申告だと、上記表のとおり各種税額軽減が適用できなくなります。
…ですが、未分割申告書を提出する際に『申告期限後3年以内の分割見込書』を一緒に提出することで3年以内に分割が調った場合において修正申告・もしくは更正の請求をする際に各種軽減のうち、一部を適用することができます。
適用できる税額軽減は、①~④の★がついている軽減です。
ただし、3年以内に無事分割が調った場合で、上記特例を受けようとするには、分割の日の翌日から4ヶ月以内に税額が減少する方は『更正の請求書』を、税額が増加する方は『修正申告書』をそれぞれ税務署へ提出する必要がありますので注意が必要です!
◆3年以内に分割協議が調わなかった場合・・・
もし、3年以内に分割協議が調わなかった場合、『遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書』の提出が必要となってきます。
この場合の「やむを得ない事由」については、以下の通りです。
① 相続または遺贈に関する訴えが提起されている場合
② 相続または遺贈に関する和解、調停または審判の申し立てがされている場合
③ 相続または遺贈に監視、遺産分割が禁止され、または相続の承認もしくは放棄の期間が伸長されている場合
④ 分割が遅延したことについて、税務署長がやむを得ない事情があると認める場合
参考:【書籍】税理士のための相続法と相続税法
(↓遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書)
この承認申請書は、相続税の申告期限後3年を経過する日の翌日から2ヶ月を経過する日までに提出が必要となってきます。
提出をしていなかった場合、税額軽減の適用が受けられなくなりますのでご注意ください。
承認申請書の提出の具体例としましては下記記載と図のとおりです。
(例)相続開始日が令和5年10月1日、申告期限が令和6年8月1日の場合
また、遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書を提出する注意点としましては、各種特例ごとに承認申請書を提出する必要があるという点です。
例として、配偶者の税額軽減と小規模宅地の特例のどちらも使用する場合は承認申請書を2枚提出することになります!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の解説は、未分割申告をしてしまった場合の各種税額軽減についてご説明いたしました。
税額軽減を適用するためには、申告書の他に必要となる書類がありますので、忘れずに提出をしなければいけません。
アイユーコンサルティンググループでは、未分割申告となった案件にも対応しており、分割見込書の提出や未分割で終了となった案件についても承認申請書等の提出案内も行っています。
税務に関するお悩みがある方は、アイユーコンサルティンググループまでお気軽にお問い合わせください。