2026.09.09
貸付用不動産の生前贈与で相続税対策に失敗?財産評価の罠と失敗を防ぐ方法
こんにちは。
中小企業の事業承継と相続に強い税理士法人アイユーコンサルティングです。
まだ厳しい暑さが残っていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
突然ですが、
「不動産の生前贈与についてご検討されたことはございますか?」
近年、相続時精算課税制度の改正に伴って、生前贈与を検討される方が増加しています。
相続税は超過累進税率が採用されているため、資産家の方ほどいかにご自身の財産の増加を抑えるか、いかに子どもに納税資金を確保してもらうかを検討する必要があります。
そこで一つの対策として資産家の方は収益力が良い貸付用不動産を子どもに生前贈与することで、不動産の賃貸収入を子どもに移すことができ、将来的な財産の増加を防ぐことができます。
一見非常に理にかなった手法であり、税理士や金融機関などから提案を受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、やり方を間違えてしまうとかえって、財産評価額があがってしまうことがあります。
今回は、その理由と対策について分かりやすく解説いたします。
そもそも貸付用不動産の財産評価ってどうするの?
貸付用不動産の中でも、アパートやマンション(区分所有のものを除く)についてみていきます。
| 項目 | 人に貸していない場合の評価額 | 人に貸している場合の評価額 |
|---|---|---|
| 土地 | 自用地評価額 ※1 | 自用地評価額- 自用地評価額×借地権割合×借家権割合 |
| 建物 | 固定資産税評価額 | 固定資産税評価額×(1-借家権割合) |
※1 土地の評価に関しては路線価地域、倍率地域によって評価方法が異なります。
このように、貸付用不動産は人に貸すことによって相続税の計算上、財産の評価額を大きく圧縮することができます。
よくあるスキームと落とし穴
貸付用不動産のうち、建物部分を子どもに生前贈与し、土地は自分の名義のままにする。こうすることで建物は人に貸しているため財産の評価を下げたまま贈与でき、かつ、建物から生じる収益は子どもに移転することができるので、相続税対策になると考えられています。
また、贈与に関しては相続時精算課税制度を活用することで、贈与税を低くすることができます。
しかし、この手法には大きな落とし穴があります。
それは土地の財産評価です。
先ほど、人に貸していれば財産の評価額を下げることができるとお伝えしましたが、この場合も相続開始時点の土地の財産の評価を下げることは可能なのでしょうか?
結論から申し上げると土地の財産の評価方法はケースバイケースになってしまいます。
具体的に確認していきましょう。
| 項目 | 贈与してから相続開始までの間に別の賃借人が借りている場合 | 贈与してから相続開始までの間に同じ賃借人が借りている場合 |
|---|---|---|
| 土地の財産評価 | 自用地評価額 | 自用地評価額- 自用地評価額×借地権割合×借家権割合 |
| 相続税の計算上 | 不利 | 有利 |
💡ポイント
いざ相続が発生した際、贈与時点の賃借人が相続開始時点で別の賃借人になっていれば、土地の財産評価は自用地評価額となり、相続税の計算上不利に働きます。
これは人に貸していると財産の評価が下がるのではなく、借地借家法に基づいて建物賃借人の権利を保護しているから財産の評価が下がるというロジックになっているからです。
一度賃借人が変わってしまうと、土地はあくまでも賃貸借契約から使用貸借の契約となり、借地借家法の保護対象外となってしまうため、賃借人を土地所有者の意思で排除することが可能となっています。
よって、いざ相続が発生してしまうと土地の財産評価は贈与する前と比べて高くなる可能性があります。
対策
せっかく相続税対策で生前贈与した不動産もやり方を間違えればかえって相続税対策にならないことやもっと良い方法があることもあります。
この事象を防ぐためには、「建物のみ贈与する」ではなく、「建物と土地の両方を贈与する」こと、もしくは仮にこの事象が起こった際にどのような影響があるのか綿密なシミュレーションをしておくことが必要になってきます。
生前対策を実施する際は必ず全体像の把握から
自身の想いを後世に繋ぐためにも全体像の把握をしたうえで、専門家と一緒に相続税対策をしていくことは非常に重要だといえます。
もし全体像の把握をせずに部分的な内容把握のみで生前対策を行えば、予期せぬところで思わぬ支障が出てくることがあります。
税理士が税金のことはもちろん、後世への思いもしっかりお伺いしたうえで一緒に生前対策を行えば、そのご家族にとって良いサポートができるのではないかと考えております。
弊社では将来の相続税の試算から生前対策、その後の相続税申告までトータルでサポートしております。
「まずは話だけでも聞いてみたい」という方は、アイユーコンサルティンググループまでお気軽にお問い合わせください。






















