「経済、社会環境の変化により、これまで以上に中小企業の生き残りは厳しくなりつつある。アウターブランディングだけでなく、そこで働くスタッフへの理念浸透（インナーブランディング）までトータルで支援できる強みを生かし、人と企業をエンカレッジしていきたい」と話すのは、企業のブランディング支援やアウトドア教育事業を手掛けるエンカレッジ株式会社（福岡市中央区唐人町）の古谷繁明社長。

 

　古谷社長は東京大学工学部を卒業後、伊藤忠ファッションシステム株式会社にてブランド立ち上げのプロデュースに従事。その後伊藤忠商事への出向等を経て、ブランディング事業会社へ転職。約7年間経験を積み、2014年に福岡市で創業した。「伊藤忠ファッションシステム時代に新規ブランドの立ち上げを経験し、クリエイティブな仕事の面白さを体感した。自分自身でブランドのコピーやコンセプトをつくれるようになりたかった」と当時の心境を語る。
　

　エンカレッジのメイン事業は古谷社長が得意とするブランディング支援。グッデイやアイ・ケイ・ケイなど名だたる企業が実績として連なる一方で、幼稚園を運営する福祉法人など対応する業界・規模は多岐にわたる。対外的なアウターブランディングだけでなく、人材育成までワンストップで対応できる網羅的なブランディング支援を強みとする同社では、企業のトップだけでなく、次世代幹部やリーダーを交えた研修スタイルを徹底している。これについて古谷社長は「社員が主体的に考え行動することで、理念の浸透率が高くなる傾向にある」と話す。
　

　現在、福岡・東京の２拠点体制だが、「地方の中小企業は事業承継も深刻化しており、企業存続のための人材の定着・採用などにおいて弊社のサービスが貢献できる」とし、幅広いエリアで老舗企業の後継者育成やM＆Aの場面での依頼を受けているという。また、最近では「企業理念ラボ」というブランド名でブランディングの相談窓口・勉強会等も開いており、企業の「らしさ」を紐解きコピーライターと共に理念の言語化・浸透を支援する主力事業のさらなる強化を図っている。

 

　主力のブランディング事業に派生して2014年からスタートしたのが、アウトドア教育事業だ。もともとは古谷社長がアメリカで体験したサマーキャンプから着想を得たもので、当初は子ども向けのみだったが、今では理念浸透のためのプログラムとして活用範囲を拡大。「子どもキャンプ」は、古谷社長自身のライフミッションと定め、現在年間30～40回開催、夏は予約待ちの状態だという。

 

 

　「人、企業、社会をエンカレッジ（勇気づける、励ます）していく」という志を掲げ、理念と人材教育の側面から地方創生を目指す同社。最後に古谷社長は、「誰かをエンカレッジすることさえできていれば、何をやっていても幸せだ」と笑顔で語ってくれた。

 

 

1979年生まれ。熊本県出身。東京大学工学部卒業後、伊藤忠ファッションシステム株式会社、伊藤忠商事株式会社、株式会社パラドックスを経て、2014年にエンカレッジ株式会社を設立。 福岡、東京を中心としたクライアントやパートナーとの協業により様々なプロジェクトを手がける。 主に企業理念の言語化やブランドプロデュース業務に従事する一方、子ども向けの自然体験キャンプ、企業向けの野外研修など、アウトドア関連の事業を推進中。

 

社　　名　エンカレッジ株式会社

設　　立　2014年4月

代　　表　古谷 繁明

所 在 地　福岡市中央区唐人町1-11-12-403

電話番号　092-725-7229