2022.12.22
福岡発!全国でも珍しい爬虫類の皮革製品メーカーの挑戦
株式会社トップ貿易 馬場 崇社長
「企業規模は大きくはないかもしれないが、世界に誇れる一流企業を目指していきたい」と語るのは、爬虫類を中心とした皮革製品(ハンドバック等)を製作する株式会社トップ貿易(福岡市博多区堅粕4丁目)の馬場崇社長。
1974年にネクタイの小売業として始まった同社は、80年代に入ると輸入バッグ部門「トップ貿易」を新設。イタリア製の高品質なバッグの輸入業へと転換し、それが今の同社の前身となった。高級ブティックや専門店での展示販売で売り上げを伸ばしていたが、バブルがはじけ格安の中国製品が台頭しはじめると、仕入先が倒産するなど苦境に陥る。ビジネスのかじ取りを迫られる中、同社が選択したのは当時のトレンドだった格安製品の薄利多売ではなく、品質の高い製品を作り、販売していくことだった。
“日本の職人技術と文化を継承したい”から始まった職人の社員登用制度
世の中が中国等からの格安製品にあふれる中、自社で高品質な皮革製品を作り始めた同社。その理由について馬場社長は「当社は“日本の職人技術と文化を絶やさず継承します。”を企業の社会的責任のひとつに掲げている。高い技術を持つ日本の職人の雇用を守るためにも、職人を正社員で雇い、安心して働ける環境を提供したかった」と経緯を話す。
その言葉通り、業態転換後、同社は日本で活躍する革職人を社員雇用で招き入れ、ハンドメイドの高級皮革を使ったハンドバック等の制作を開始。全日本爬虫類皮革産業協同組合が認定する「JRA」のタグを付けることが許された高品質な商品と、顧客に寄り添ったモノづくりが徐々に評判を呼び、展示会での販売を中心にユーザーを獲得。今では3人の職人を雇い、全国でも珍しい爬虫類を中心とした老舗の革製品メーカーへと成長を遂げた。
積極的なブランド展開でターゲット層の拡大も
現在、博多弁で「本物」を意味する「HOMMOM(ホンモン)」シリーズを中心に自社ブランドを展開。最もハイクラスなブランド「HOMMOM PREMIUM」では、「ペン差しのポケットを付けてほしい」等、一人ひとりの要望にできる限り応える形で制作している。その理由について馬場社長は「“究極のオンリーワン”を追求し、百年経っても愛用していただけるモノ創りを目指したかった」と打ち明ける。
従来のハイグレードな製品を手掛ける一方で、近年は女性スタッフの発案で生まれたBLUE MONDAY(ブルーマンデー)という若い女性をターゲット層とした製品の販売にも挑戦中だ。馬場社長自身も、デザイン~企画~販路開拓まで行うゴルフグッズの販売に着手しており、ゴルフ場での販売も好調のようだ。さらに2021年には、気軽に製品を見てもらえる環境づくりの一環として、自社ビル1Fに「博多革工房HOMMON」をオープン。職人の作業工程も一望できる工房兼路面店として、幅広い層が足を運んでいる。
(BLUE MONDAY(ブルーマンデー)の製品)
高品質なモノづくりが評価され、近年ではOEMの需要も獲得している同社だが、自社ブランドでの販路拡大に馬場社長は意欲を見せる。「長年愛用いただいているお客様に喜んでいただける製品作りはもちろんのこと、将来的には海外でも展開していきたい。そのためにも、高品質なモノづくりは一貫して行いながら、幅広い層の方に弊社のブランドを知っていただき、誇れる企業にしていきたい」と笑顔で語った。
近々創業50周年を迎える同社。
福岡発の高級皮革メーカーとして世界にその名が馳せる日は、そう遠くないのかもしれない。
<会社概要>
社 名 株式会社トップ貿易
創 業 1974年
代 表 馬場 崇
所 在 地 福岡市博多区堅粕4丁目25番19号 TOPビル
電話番号 092-481-0955