2019.02.05
「持分あり医療法人」がいい?「持分なし医療法人」がいい?
こんにちは。中小企業の事業承継に強い税理士法人アイユーコンサルティングです。
今回は、医療法人制度における「持分あり医療法人」と「持分なし医療法人」についてお話ししようと思います。
1.「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」へ
2007年4月に第5次医療法の改正が行われ、新たに設立される医療法人はすべて残余財産が国等に帰属される「持分なし医療法人」となりました。
あれからもう10年以上が経過しているのですね。
当時は、「持分なし医療法人」のデメリットが大変強調されていました。
駆け込みで「持分あり医療法人」を設立された方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
実際2007年以降数年間、医療法人の認定件数は大幅に減少しましたし、「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への移行はほとんど進みませんでした。
当時の話題は、「持分あり医療法人」すなわち経過措置型医療法人がいつまで存続するかということで、皆さま、いつかは全ての医療法人は「持分なし医療法人」にならなければならないのか?といった不安をお持ちでした。
現在においては、「持分あり医療法人」の存続期間として認められた当分の間に関して、厚生労働省が実質的には相当の長期間と考えて問題ないと回答したことにより、その不安は解消されています。
つまり「持分あり医療法人」は、「持分なし医療法人」へ強制的に移行されることはないということが明確にされました。
2.「持分なし医療法人」は避けるべきか
それでは強制移行がないならば、「持分あり医療法人」のままがいいのでしょうか。それとも「持分なし医療法人」へ移行したほうがいいのでしょうか。
「持分あり医療法人」は、「持分なし医療法人」と同様出資配当は禁止されているものの、退社に伴う財産の払戻しや解散時の残余財産の分配、出資持分の譲渡が認められており、確かに財産権という意味では「持分あり医療法人」の方が明確であると言えます。
例えば後継者がいない医療法人ならば、医療法人を解散するか、出資を譲渡するかどちらかの選択肢になりますので、個人の財産権を所有し続ける「持分あり医療法人」のほうがいいでしょう。
また出資持分の評価がそう高くなければ、出資持分に対する相続税の納税や退社に伴う出資持分の払戻のリスクも高くないので、「持分あり医療法人」のままでいるという選択をされる方が多いように感じます。
一方で「持分なし医療法人」を経営されている方も特に不自由さは感じておられません。
解散時の残余財産は国等に帰属するものとされていますが、まず解散するつもりで法人を設立される方は、いらっしゃいません。
また医療法人の純資産は、経営者の相続財産を構成しませんので、どんなに医療法人に財産が蓄積されようとも相続税は課されません。
さらに医療法人の理事構成について、親族要件は付されておりませんので、経営の自由度に関しては「持分あり医療法人」と全く変わりません。
ですので、「持分なし医療法人」でよかったとおっしゃられる方も多くいらっしゃいます。
3.大切なのは、今後の経営に適した選択
以上のように、「持分あり医療法人」が適する方もいらっしゃれば、「持分なし医療法人」が適する方もいらっしゃいます。
ですので、その選択にあたって一番大切なのはご自身の法人のことを知ることです。
〇 法人は「持分あり医療法人」か否か
〇 社員の構成及び理事の構成はどうなっているか
〇 出資者の構成とそれぞれの出資額はどうなっているか
〇 出資の評価はいくらぐらいか
〇 今後の経営についてどのように考えられているか
以上が分かれば、おのずと答えが得られると思います。
認定医療法人の制度がある今だからこそ、是非ご検討頂きたいのです。
もし、ご自身の法人のことが分からなかったり、若しくは分かったけれども答えが出ないといったときは、
お気軽にお問い合わせくださいませ。
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福岡事務所 タックスアドバイザリー部 マネージャー
小池 明日香