2019.08.16
“伝家の宝刀”折れ曲がる?!同族会社の行為計算否認に新解釈か!
こんにちは。中小企業の事業承継に強い税理士法人アイユーコンサルティングです。
今回は、令和1年6月27日東京地裁判決にて同族会社の行為計算否認規定の適用是非が争われ、納税者が勝訴した事例(国側控訴)をお伝えします。
※同族会社の行為計算否認規定(法人税法132条1項)って??※ 税務署長は、内国法人たる同族会社等に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。 →つまり、内国法人である同族会社が行った法人税の負担を不当に減少させる行為計算は、税務署長は否認できますよ!というもの |
同規定における「法人税の負担を不当に減少させる結果」について法令上具体的な基準はありませんが、同規定の適用には次の点がポイントとされていました。
・客観的合理的に判断して、取引に経済合理性があるか?
・客観的合理的に判断して、独立当事者間の通常の取引と異なる取引にあたるか?
・租税回避目的の意図は問わない
しかしながら、本判決では”経済合理性”について新たな解釈がなされたのです。
【事案概要】
外資系レコード会社である原告が、グループ内日本法人を買収する目的でグループ内の外国法人から約866億円の借り入れを行い、当該借入にかかる支払利息を損金算入して申告したところ、当該利息の損金算入につき、法人税の負担を不当に減少させる行為として、法人税法132条1項を適用した更正処分等がなされた。原告が提訴し、経済合理性がある行為と判断され原告勝訴。現在国側は控訴中。
判断のポイントは以下2点です。
1.その行為又は計算に、法人税の負担以外の経済合理性があるのであれば、他に同等以上の手法があっても、経済合理性を否定するものではない
2.同族会社の特性を活かして経済活動を行うことはごく自然であり、そのような取引を行ったことを理由として、直ちに同族会社と非同族会社との課税の公平が害されることとはならない
まだまだ地裁判決で今後どうなるかはわかりませんが、仮に今回の解釈が採用されることとなれば、同規定の適用は非常に限定的になるとともに納税者有利になると考えます。
いずれにせよ、要注目の判決です!!
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