2023.10.10
インボイス制度開始に伴う相続への影響は?
こんにちは。
中小企業の事業承継と成長支援に強いアイユーコンサルティンググループです。
秋の訪れを感じる時期となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
消費税インボイス制度がいよいよ10月よりスタートしました。
相続とインボイス制度について、あまり関係のないこととお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、思わぬ落とし穴があります。
今回はそのことについてご紹介をさせていただきます。
■事業を承継した場合のインボイス番号の承継と効力について
親が個人で事業をされており、その方が亡くなってご相続人が事業を引き継いだ場合、インボイス番号がどのような扱いになるかご存じでしょうか?
インボイス番号は基本的に各個人に紐づいているため、そのままの番号をずっと使い続けることができません。
しかし、事業を引き継いだ方が新しくインボイス番号を取得するには時間がかかります。
そのための措置として次のような取り扱いがございます。(令和5年10月1日以後に死亡した場合)
ご相続があった日の翌日から、次の①と②のいずれか早い日までの期間をみなし登録期間として、亡くなった親のインボイス番号をそのまま使うこととなります。
- ①事業を引き継いだ方がインボイス発行事業者の登録を受けた日の前日
- ②亡くなった親の死亡日の翌日から4カ月を経過する日
上記で記載の通り、4カ月間しか親のインボイス番号を使うことができないため、その間に事業を引き継いだ方が、インボイス番号を取得する必要があります。
ご相続人は、インボイス手続きに限らず、外部の取引先に対する対応や現従業員との対応など様々な手続きが必要となってきます。
また、事業を引き継ぐ方がすぐに決まれば良いのですが、遺産分割協議がまとまらず、事業が継続できない事態も考えられます。(下図:事業承継者が決定しない場合)
インボイス番号を使えなくなりますと、取引先が消費税の仕入税額控除ができなくなるため、取引先に迷惑をかけることが考えられます。
場合によっては、仕入税額控除ができなくなるため、取引先から取引価額について値引きを要請される可能性もあります。
以上の通り、急に事業を引き継いだご相続人の立場からしますと、4カ月間という期間はあっという間です。
ご相続があった場合に備えて、事業の引継ぎを含めた事前のご準備を進めておく必要があります。
特に有効なのが、事前に財産を誰に渡すかを決める遺言の手続きをしておくと、事業承継がスムーズに進みます。
また、事業後継者に事前に後継者としての教育・育成・社内通知まで行っておくのが望ましいです。
■最後に
円滑な事業承継をするためにお悩みやご不安なことがございましたら、事前に専門家にご相談されることをお勧めいたします。
ぜひ、相続、中小企業の事業承継に強いアイユーコンサルティンググループまでお気軽にご相談ください。