2020.07.06
令和2年分路線価図等が公開!新型コロナウイルスの影響は!?
記録的な豪雨について、連日報道が続いており皆様もご不安な日々をお過ごしのことと存じます。
さて、今年も例年通り、令和2年7月1日に令和2年分の路線価が公表されました。路線価は相続税・贈与税の課税の際に土地の基準となる価格ですが、土地の価格は一物多価といわれ、公示価格・基準地価・固定資産税評価額など、実は同じ土地にも関わらず、目的によって数種類の価格があります。また、自分の所有している土地の時価はいくらなのだろうかと気になる方も多いのではないかと思います。今回は路線価及び土地の評価についてご紹介いたします。
路線価
1.路線価とは
路線価は、毎年7月初旬に国税庁より公表されています。相続税や贈与税の計算にあたって、土地等の価値を評価する際に用いられる数値で、路線(道路)にはそれぞれその道路に面している標準的な宅地1㎡あたりの価格が設定されており、これを路線価といいます。路線価が定められていない地域については、評価倍率表を用いて評価します。
皆様が所有している不動産の路線価も下記の国税庁のホームページより閲覧することができます。
現在のホームページでは平成26年から令和2年分までの路線価が公表されています。
国税庁HP 路線価図 http://www.rosenka.nta.go.jp/
2.路線価はどうやって決まるのか、時価との関係は
路線価は、毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として算定した価格の80%により評価しています。路線価を80%で割りかえした金額が理論上の時価となります。国税庁のホームページで簡単に確認することができ、全国の都市の中心部及びその周辺に限定されますが、その範囲全域の道路(路線)にきめ細かく表示されるため、幅広い土地の価格評価に利用できます。
3.令和2年の路線価
令和2年分の路線価も例年同様に全国的に上昇傾向にあり、全国平均路線価は前年比で1.6%アップと5年連続で上昇しています。訪日外国人(インバウンド)客の増加や都市部の再開発が大きな要因となっています。
上昇率が高かった主な地域です。
沖縄県(前年比10.5%上昇)
東京都(前年比5.0%上昇)
宮城県(前年比4.8%上昇)
福岡県(前年比4.8%上昇)
北海道(前年比3.7%上昇)
1月1日を評価時点としているため、新型コロナウイルスの影響前の評価額となっています。新型コロナウイルスの影響で地価が大幅に下落する地域も出始めていますが、日本経済新聞には、「9月ごろには国土交通省が、不動産鑑定士の評価を基にした7月1日時点の基準地価を公表する。基準地価が広範囲で大幅に下落した場合、国税庁は地域ごとに一定の係数を路線価に乗じて減額する案を検討している」との報道がありました。
東日本大震災の際にも、国税庁より相続税・贈与税の土地等の計算の基礎になる路線価に、震災の影響を反映させるための「調整率」が発表されました。
令和2年分の相続及びこれから相続対策をする方については、今後の減額修正の措置を考慮する必要がありそうです。
その他の評価方法
1. 時価
売り手と買い手の合意がなければ売買は成立しません。そのため第三者の間で成立した売買価格が時価に該当します。「実勢価格」とも呼ばれています。
2. 公示価格
公示価格は、毎年3月下旬にその年の1月1日を評価基準として不動産鑑定士が鑑定し、国土交通省土地鑑定委員会が全国に定めた地点(標準地)の正常な価格を公示するものです。
一般的な土地取引の指標や公共事業の取得価格算定の基準とされ、適正な地価の形成に寄与するために利用されます。国が示す一般的な土地取引の指標ですので、概ね実勢価格(時価)に近い価格ですが、例外もたくさんあり、市場環境の急激な変化があった場合、公示価格は1年に1回の発表のため、このような急激な変化が反映されるのは少なくとも1年以上後になります。また、全国の隅々まで公示されているわけではなく、標準地の選定は限定的なため利用できる土地は限られてきます。
3.基準地価
基準地価は、毎年9月頃にその年の7月1日を評価基準として不動産鑑定士が鑑定し、各都道府県が公表しています。
基準地価の目的は公示価格と同じで、公示価格を補完するものです。
4.固定資産税評価額
固定資産税評価額は、1月1日を賦課期日として、3月頃に固定資産税を課税するために各市町村が決定している価格です。不動産取得税や登録免許税の計算の際にも利用されます。
固定資産税評価額は、公示価格の70%を基準に決定されているため、固定資産税評価額を70%で割りかえした金額が理論上の時価となります。
固定資産税評価額は、毎年6月頃に送られてくる固定資産税課税明細書(納税通知書)を見ることで簡単に確認することができますが、評価替えは毎年ではなく原則として3年に一度のため価格の大きな変動がある場合は実際の時価と乖離する可能性があるため注意が必要です。
まとめ
相続対策の第一歩は現状把握、相続財産やその評価額を知ることです。国税庁の発表によれば、相続財産のうち、不動産の占める割合は約45%です。つまり土地の評価額を把握することは相続において重要なポイントの1つといえます。この度の路線価の公表を機に、土地の評価、相続税の試算を行ってみてはいかがでしょうか。
税理士法人アイユーコンサルティングは資産税(相続等)を得意とする税理士法人です。
相続や相続対策に関するお悩みがある方は、税理士法人アイユーコンサルティングまでお気軽にご相談ください。