2019.08.05
「もしも実家が空き家になったら、、、」準備しておくべきこと
こんにちは。 中小企業の事業承継に強い税理士法人アイユーコンサルティングです。
兄「おまえ、マイホーム持ってないだろ?だったらこの実家はお前にあげるよ。いつか戻ってきて住んだらいい」
弟「いや、いらない。たしかにマイホームは持ってないけどここには住めないよ。だって最寄りの駅まで車で30分、しかもその駅は無人駅で電車は一時間に一本、お世辞にも住みやすいとはいえないとこだよ。兄貴にやるから売るなり貸すなりしたらいいじゃないか。兄貴は地元に残ってるんだしさ。実家、あげるよ」
両親が亡くなり実家が空き家になる。誰が相続するのか?
マイホームを持っている者、生活拠点を都心におき実家に戻る予定がない者。実家には誰も住む予定がない。
最近、よくこんな話があるようだ。そう、空き家問題である。
若い頃に建てた家は、多少利便性が悪くても気にならなかった。マイカーでどこにでも行けた。しかし、年をとれば自由が利かなくなる。昔は栄えた商店街も今はだれもいない。交通手段がなければスーパーにさえ行けなくなる。
不動産会社に勤める友人の言葉を思い出す。「実家は必ず売れる財産と思ってはいけない。スーパー、病院、学校などが近隣にない利便性が悪い実家は、買い手もいない。借り手を探すことも難しい。しかし、固定資産税は払わなくてはならない、家の修繕に係る費用だってばかにならない。タダでも借りてくれる人がいればありがたいと思ったほうがいい。」売れない実家は負の財産。
生まれ育った思い出が詰まっている実家をそのように言われているようでかなり辛かった。買い手が見つかりにくい土地であっても、近隣住民が駐車場用として購入することもある。また、リノベーションをして民泊や古民家風カフェなどとしての活用も期待できるため、専門家に相談するとよいだろう。
では、場所がよければいつでも売却できると安心していてよいのか?ここにも思わぬ落とし穴があることを注意しなければならない。
東京都内に住むAさん。200坪ある実家は福岡県にあり利便性はいい。100坪ほどは家庭菜園にしている。不動産屋から売りませんか?という電話がよくかかってくる。空き家問題が騒がれる昨今、利便性もよく十分な坪数を確保できる土地はいつでも売れる財産だ。両親のどちらかが亡くなれば、実家を売って自分のもとに呼び寄せるか、施設に入所する諸費用に充てようと予定していた。売れる実家はいつでもお金に換金できる財産だ。何も心配はなかった。
1年前、父親が亡くなり母親は一人での生活となった。心配だから呼び寄せようとしたが、母親は住み慣れたところがいいと聞かなかった。元気に生活している様子だったのでその時は気にもとめなかった。
ところが、父親が亡くなり半年くらい経ったある日、母親の様子が変だ。物忘れも激しくなり、お金の管理もできなくなってきたのだ。そう、認知症だ。さすがに母親を一人にしておくことはできない。と、急いで施設を探した。運がよかった。すぐに施設は見つかった。初期費用は少し高いが、実家を売れば支払えない額ではない。不動産屋とも話は進んでいたので安心していたが、話は急展開する。実家を売却することができない。
なぜ?買いたいという人がいるのに売ることができないのか?
なんと、実家の所有者である母親が認知症だから売買契約が成立しないとのことだ。認知症になると法的な契約行為ができない。知らなかった。親の代わりに子供の自分が代理で行えばよいものと思っていた。利便性が悪く売れない不動産があることは知っていた。ところが、実家は学校、スーパー、病院が近隣にあるため、いつでも買い手が見つかるいい場所にある、そう思い込んで安心していた。まさか母親が認知症になってからでは売れないとは。
あとから知ったのだが、家族信託を活用すればよかったとのことだった。このケースだと、生前贈与ではなく、家族信託のほうがよいとのことだ。親の相続の際に、HPで見つけた税理士からのアドバイスだ。
実家を売却して介護費用に充てたいが、実家に直ちに買い手がつく保証もなく、売却前に親が認知症になって契約ができないということを懸念されるケースが増えてきている。
そのような場合、一般的には親から子への相続時精算課税による生前贈与を活用することが多い。相続時精算課税を活用すれば、2500万円まで無税で親から子へ財産を移転することができるからだ。
しかし、相続時精算課税による贈与の場合、子供には不動産取得税と登録免許税が課され、また、贈与後に売却できても、子供には自宅の売却益に対して譲渡所得税が課されるといった税務上のデメリットがあるのだという。
このようなデメリットがないのが家族信託だそうだ。家族信託を活用すれば、不動産取得税も譲渡所得税も一切発生せず、登録免許税だけがかかるとのことだ。しかも、登録免許税は通常移転時の5分の1程度に抑えられるとのことだ。
また、自宅の売却に対する課税はあくまでも親に対して課税されるのだが、親は自宅の売却だから特別控除で3000万円の譲渡益までは税金がかからないのだという。仮に、売却できずに親が亡くなっても、自宅土地の所有者は親だから、相続税の計算において小規模宅地の特例が使えるケースがあり、相続税の節税にもなるそうだ。
(まとめ)
今や日本は世界有数の高齢化社会です。そして、財産を所有しているのは高齢者であることが少なくありません。高齢になり認知症になってしまうと、一切の法律行為ができなくなってしまいます。そうなると、親族等が裁判所へ後見人を選任する手続きが必要となり、後見人が毎年財産の内容を裁判所に報告しなければなりません。財産の処分は後見人の同意のもとで行わなければならなくなります。もし親が施設等に入所して空き家になったから実家を売却したいと思ってもすぐに売却することができなくなります。場合によってはタイミングを逃してしまうこともあるでしょう。
このような問題は信託を活用することで解決できます。もちろん、認知症がすすんでしまったら信託契約という法律行為もできません。そうなる前に相談されるとよいでしょう。たしかに、ご両親にこのような話を切り出すことは難しいかもしれませんが、親身になって相談に乗ってくれる専門家に説明をしてもらいながら進めていくとよいでしょう。
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