2021.07.04
教育資金、結婚・子育て資金贈与の非課税措置は2年延長!! ただし、2割加算の対象が増えることに…
こんにちは。
中小企業の事業承継と成長支援に強いアイユーコンサルティンググループです。
じめじめと蒸し暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は令和3年度税制改正項目のひとつである教育資金、結婚・子育て資金贈与の非課税措置の見直しについて解説していきたいと思います。
<教育資金一括贈与の非課税措置の見直し>
当該措置は、贈与を受ける人一人当たり1,500万円まで(学校等以外の者に支払われる金銭については 500 万円まで)の教育資金が非課税になる制度ですが、改正概要と適用時期は以下のとおりです。
1.概要
- 当該非課税措置の適用期限が2年間延長されます。
- 教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合は、死亡の日までの年数にかかわらず、管理残額(非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額のうち、一定の計算をした金額)を受贈者が贈与者から相続等により取得したものとみなして、相続税が課されます(但し、受贈者が23歳未満など一定の場合は相続税の課税対象外)。
- 贈与者の子以外の直径卑属(孫など)に相続税が課される場合は、管理残額に対応する相続税額が相続税額の2割加算の対象になります。
- 非課税申告書等の電子提出が可能になります。
- 資金の範囲に一定の認可外保育施設へ支払う保育料が追加されます。
2.適用時期
- 令和3年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用されます。
見直し内容を改正前と改正後とで比較すると、以下のようになります。
項目 |
改正前 |
改正後 |
贈与時期 |
2013年(平成25年)4月1日から 2021年(令和3年)3月31日まで |
2013年(平成25年)4月1日から 2023年(令和5年)3月31日まで (2年間延長) |
贈与者 |
直系尊属 |
同左 |
教育資金管理契約の終了の日までに贈与者が死亡した場合 |
贈与者の死亡前3年以内の贈与にかかる管理残額を、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、相続税が課される 但し、受贈者が下記①~③に該当する場合を除く ①23歳未満である場合 ②学校等に在学している場合 ③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合 |
贈与者の死亡の日における管理残額を、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、相続税が課される (3年以内に限らず対象) 但し、受贈者が下記①~③に該当する場合を除く ①23歳未満である場合 ②学校等に在学している場合 ③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合 |
相続税額の 2割加算 |
― |
管理残額について孫などに相続税が課される場合、相続税額の2割加算の対象 |
電子提出 |
― |
非課税申告書等の電子提出が可能 |
範囲の拡大 |
― |
当該資金の範囲に一定の認可外保育施設に支払う保育料を追加 |
<結婚・子育て資金一括贈与の非課税措置の見直し>
当該措置は、贈与を受ける人一人当たり1,000万円までの将来の結婚資金や子育てに使うお金が非課税となる制度ですが、改正概要と適用時期は以下のとおりです。
3.概要
- 当該非課税措置の適用期限が2年間延長されます。
- 受贈者の年齢要件の下限が18歳以上に引き下げられます。
- 贈与者の子以外の直径卑属(孫など)に相続税が課される場合は、管理残額(非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額)に対応する相続税額が相続税額の2割加算の対象になります。
- 非課税申告書等の電子提出が可能になります。
- 資金の範囲に一定の認可外保育施設へ支払う保育料が追加されます。
4.適用時期
- 令和3年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用されます。
- ただし、受贈者の年齢要件の改正のみ令和4年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用されます。
こちらも改正内容を改正前と改正後とで比較すると、以下のようになります。
項目 |
改正前 |
改正後 |
贈与時期 |
2013年(平成25年)4月1日から 2021年(令和3年)3月31日まで |
2013年(平成25年)4月1日から 2023年(令和5年)3月31日まで(2年間延長) |
年齢要件 |
受贈者の年齢が20歳以上50歳未満の方 |
受贈者の年齢が18歳以上50歳未満の方 |
相続税額の 2割加算 |
― |
管理残額について孫などに相続税が課される場合、相続税額の2割加算の対象 |
電子提出 |
― |
非課税申告書等の電子提出が可能 |
範囲の拡大 |
― |
当該資金の範囲に一定の認可外保育施設に支払う保育料を追加 |
いかがでしたでしょうか?
当該非課税措置の2年延長や対象となる支払先の範囲が拡大されたことにより、コロナ禍で資金不足にあえぐ若者世代への資産移転の促進が期待できますが、一方で相続税の2割加算の対象となる方が増えてくることも予想されますので、当該非課税措置をご利用の際は、くれぐれもご注意いただければと思います。
税務に関するお悩みがある方は、アイユーコンサルティンググループまでお気軽にご相談ください。