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申告不要でも油断は禁物!?二次相続の注意点!!

申告不要でも油断は禁物!?二次相続の注意点!! | 相続

こんにちは。

中小企業の事業承継と成長支援に強いアイユーコンサルティンググループです。

日を追うごとに夏らしくなるこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回は、一次相続において控除制度により申告不要になったとしても、二次相続において一次相続の計算が必要となる場合について、解説いたします。

 

相続税においては申告をしなくても適用可能な控除制度がいくつかあります。

例えば、下記のような税額控除が挙げられます。

  • 1.障がい者控除
  • 2.未成年者控除
  • 3.相次相続控除
  •  

特に、障がい者控除は控除額が大きいため、相続税の試算の結果納税額が0円となり、申告不要と判断されることが多くあります。障がい者控除は下記の計算式によって求められます。

  • ①一般障がい者の控除額=(85歳-相続開始時の年齢)×10万円
  • ②特別障がい者の控除額=(85歳-相続開始時の年齢)×20万円

※年齢の1年未満は切り捨てます。

 

仮に、一次相続の時は障がい者控除によって申告不要になったとしても、二次相続の時に一次相続の計算を行う必要がある場合があります。その理由は、障がい者が2回以上相続で財産を取得した場合、それぞれの場合に障がい者控除の適用を受けることが出来ますが、その適用を受けることが出来る控除額は、最初の相続の際に計算した障がい者控除額から、実際に控除を受けた金額を控除した残額、つまり、現在までの控除不足額の範囲内に限られるためです。

具体的な例を挙げて見ていきましょう。

 
(1)一度目の相続

相続が発生し、被相続人のおおよその積極財産のみを把握した状態で相続税の試算を行ったとします。

相続開始日  :平成30年6月15日
被相続人   :被相続人A
相続人    :配偶者B、長男C、二男D(一般障がい者に該当)
        ※二男Dは相続開始日において60歳とする。
財産総額   :6,500万円
法定相続分割合:配偶者B 1/2、長男C 1/4、二男D 1/4
財産の分割割合:法定相続分割合で財産を分割

■障がい者控除の限度額の計算

(85歳-60歳)×10万円=250万円

 

■相続税の試算

   ※障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れない場合、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者(注)の相続税額から差し引くことができます。

(注) 扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。

 

今回、障がい者控除を適用して試算をすると相続税額が0円となったため、申告義務はないと判断し、相続税申告を行わなかったとします。申告を行わない判断をしたため、正確な財産総額や債務控除、葬式費用は把握しませんでした。

では、配偶者が亡くなり、二度目の相続が発生した場合を見ていきましょう。

 

(2)二度目の相続

相続開始日  :令和5年6月15日
被相続人   :配偶者B
相続人    :長男C、二男D(一般障がい者に該当)
       ※二男Dは相続開始日において65歳とする。
財産総額   :5,500万円
法定相続分割合:長男C 1/2、二男D 1/2
財産の分割割合:法定相続分割合で財産を分割

 

■障がい者控除の限度額の計算

(85歳-65歳)×10万円=200万円

一次相続で利用しなかった障がい者控除の額
250万円-170万円80万円

200万円>80万円

∴80万円

 

■相続税の試算

二度目の相続について、相続税額が発生するため、相続税申告が必要になります。しかし、障がい者控除の限度額の計算における「一次相続で使用した障がい者控除の額170万円」はあくまで一度目の相続が発生した際の試算額でしかありません。二度目の相続では相続税申告が必要になるため、一次相続で利用した正確な障がい者控除額が必要になります。

 

つまり、一次相続の相続税の計算を申告が可能な精度で計算する必要があるため、二次相続の前に一次相続の相続税の計算に行うことになります。財産の中に不動産が含まれていれば一次相続が発生した当時の評価額を計算する必要がありますし、債務や葬儀費用を控除したいとなれば当時の資料を準備する必要があります。財産や債務の内容によっては当時の資料を入手するのが困難な場合があり、また、2回分の相続税の計算を行う必要があることから、通常の相続税申告より手間もコストも増大する可能性があります。

 

さらに、今回のケースであれば一次相続の際に申告を行い、配偶者控除を適用していれば、配偶者Bが取得した財産については、1億6千万円までは非課税となっていたため、一次相続の際に申告を行っていれば、障がい者控除の利用額を減らすことができ、二次相続でも相続税が発生しなかったことになります。こちらも具体例を挙げて見ていきましょう。

 

(1)一度目の相続

相続開始日  :平成30年6月15日
被相続人   :被相続人A
相続人    :配偶者B、長男C、二男D(一般障がい者に該当)
       ※二男Dは相続開始日において60歳とする。
財産総額   :6,500万円
法定相続分割合:配偶者B 1/2、長男C 1/4、二男D 1/4
財産の分割割合:法定相続分割合で財産を分割

 

■障がい者控除の限度額の計算

(85歳-60歳)×10万円=250万円

■相続税の計算

 

 

 

(2)二度目の相続

相続開始日  :令和5年6月15日
被相続人   :配偶者B
相続人    :長男C、二男D(一般障がい者に該当)
       ※二男Dは相続開始日において65歳とする。
財産総額   :5,500万円
法定相続分割合:長男C 1/2、二男D 1/2
財産の分割割合:法定相続分割合で財産を分割

 

■障がい者控除の限度額の計算

(85歳-65歳)×10万円=200万円

一次相続で利用しなかった障がい者控除の額 
250万円-85万円165万円

200万円>165万円

∴ 165万円

 

■相続税の試算

 

一度目の相続の際に申告を行い、配偶者控除を使っていたことで障がい者控除の利用額が減少したため、結果、二次相続の相続税額も0円になり、申告不要となりました。

 

いかがでしたでしょうか?

一次相続が発生した際に控除制度により相続税0円となり申告義務がなかったとしても、二次相続を踏まえて考えると、実は一次相続の時に相続税申告を行っていた方が相続税や申告にかかる手間やコストを削減できる可能性があります。

相続税の控除制度には各種留意点がありますので、相続税対策をお考えの方は税理士に相談されることをお勧めいたします。

 

 

税務に関するお悩みがある方は、アイユーコンサルティンググループまでお気軽にご相談ください。

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